290年の歳月を超え、
いまに息づく江戸の世の営み。
入母屋造りで、懐かしい茅葺屋根。建物の規模は桁行21.8m、梁間10.5m。旧住居内にひとたび足を踏み入れると天井は高く、燻し出され、黒光りする巨大な柱に目を奪われます。間取りは「三間広間型」と呼ばれる、奥に2間の畳敷きの座敷、手前には広い板敷間があり、囲炉裏が切られています。土間の中央には大きな一口のかまどがあるなど、江戸時代の営みを窺い知ることができます。

関東
吉田家住宅 @埼玉県 小川町
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池袋駅から東武東上線で90分余り。高層ビルや住宅密集地を抜け、窓の景色に木々の緑が増えるとそこは武蔵の小京都「小川町」です。東武線小川町駅でJR八高線に乗り換えて最初の「竹沢駅」を下車。穏やかな空気に包まれ歩くこと15分。里山を背にして平成元年に国の重要文化財建造物に指定された「吉田家住宅」が見えてきます。
埼玉県比企郡小川町大字勝呂字西浦424
TEL 0493-73-0040 FAX 0493-74-1863
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入母屋造りで、懐かしい茅葺屋根。建物の規模は桁行21.8m、梁間10.5m。旧住居内にひとたび足を踏み入れると天井は高く、燻し出され、黒光りする巨大な柱に目を奪われます。間取りは「三間広間型」と呼ばれる、奥に2間の畳敷きの座敷、手前には広い板敷間があり、囲炉裏が切られています。土間の中央には大きな一口のかまどがあるなど、江戸時代の営みを窺い知ることができます。

自分で挽いた米粉に熱湯を混ぜ、こねるだけ。
混じりっけなしの100%手作り。

丸めたお団子をせいろで蒸せば、できあがり。
湯気にはほのかな甘みが・・・。

寄居産のお米を原料にした米粉のお団子。
米の甘み、もっちりとした食感がたまらない。
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「吉田家住宅」が他の国指定重要文化財と違うのは「民家」として歴史的価値が認められたこと。江戸時代の人々の住まい方に想いを馳せながら食事や喫茶を愉しむことができます。
「今から12年ほど前、一般に公開することになり、囲炉裏のある昔ながらの家で、ゆっくりしていただきたいという想いからお団子をお出しするようになりました」と語るのは当主である吉田辰己さんの奥様である千津代(ちづよ)さん。「地元埼玉産の米粉を自分で挽いてお湯だけでこねてつくります。お店で売っているのは、柔らかいお団子で日持ちが良いけれど、うちは混じりっけなしの手作りだから夕方になるとかちかちになってしまうの(笑)」香ばしい醤油味とあんこ(草団子)の2種類がありますが、草団子に使うよもぎは、萌黄の季節に一年分を摘みに行くそうです。「裏の里山のあまり人が立ち入らない場所に摘みに行きますが、味の濃さ、色合い、風味は絶品です」とのこと。
かつてこの国の人々がそうであったろう食に対する真摯な態度や住まい方を千津代さんの自然な振る舞いに感じ取ることができます。なるほど、「囲炉裏で焼く吉田家住宅のお団子を一度食べたら、よそのお団子は食べられない」とは、同じ日にこちらを訪問されたお客様の声。遠方でありながら懐かしさから、時折顔を出されるそうです。

自分で挽いた米粉に熱湯を混ぜ、こねるだけ。混じりっけなしの100% 手作り。

丸めたお団子をせいろで蒸せば、できあがり。湯気にはほのかな甘みが・・・。

寄居産のお米を原料にした米粉のお団子。米の甘み、もっちりとした食感がたまらない。
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「吉田家住宅」で出されるお料理はあくまで家庭料理。どれも素朴なものですが、野菜が本来持っている味わいーーー美味ではなくむしろ滋味が季節の彩りとなってそのまま一皿に表れます。
「調理に関してもこだわりは特にありません。素材の旨みを出したいから薄味に仕上げる程度です。うちでお出しする料理は、どの家庭でも普段食べられるものが多い。肉じゃがだったり、きんぴらだったり、酢の物だったり。でもお客様がおいしいといってくださるのは、素材のおいしさはもちろんですが、日本人の食味の基本である家庭料理を江戸中期の佇まいのなか、囲炉裏越しに食べられことが大きいと思うんです。」見ず知らずのお客様も囲炉裏に隣り合うと自然に会話が生まれるのだそうです。それは火の力か、人の力か、食の力か、はたまた歴史ある空間のなせる技なのでしょうか・・・・。

ご主人が栽培する金胡麻の畑は、お住まいの近くにある。

収穫後は立てかけて置き、実が自然に弾けるのを待つのみ。

絶品の風味をもつ自前の金胡麻。
「よく見かける袋入りの胡麻」とは全くの別物だ。
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ところで吉田家住宅の人気メニューには「うどん」もあります。もともと小川町界隈は小麦粉の産地であり、「うどん」はとても身近な存在です。「嫁に来るからには、うどんくらいは打てなければ、という土地柄で、こちらに住むようになってから義父に打ち方を教えてもらいました。冠婚葬祭で親戚が集まるとうどんで始まりうどんで終わる。うどんが出るとお開きという合図で、それはいまで慣習として残っているようですね。」
うどんといえば、薬味に使う金胡麻や一味唐辛子も、ご主人の手による、まさに自家製。「手間暇かかるけど、できるかぎり地のもの、自然なものをお出ししたいから。野菜は多めに収穫できたらお客さんにお裾分けしています。出荷が目的ではなく、旬のものをお出しするという当たり前のことをするために畑仕事をしているようなもの。」とは、ご主人の吉田辰己さん。本業は内装業で、お料理は奥様とご長男の智さんの担当ですが、朝夕は畑仕事や裏の里山の手入れ、仕事が休みの日は来館者の対応などに追われるなど八面六臂の忙しさのようです。
「ここで生まれ育った者として、年老いた親の面倒をみることになり、故郷に舞い戻ってきてから26年経ちました。生家が歴史的に評価され県内最古の古民家として指定重要文化財となりましたが、どうも実年代の分かる古民家というのはあまり存在しないようです。文化庁や県の調査で亨保6(1721)年に建てられたという棟札が発見されてその価値が認められたわけですが、保存して見学者を受け入れるだけでは、本当の価値は分かってもらえないと、家のなかに自由に立ち入れるようにしました。」(辰己さん)

土間には、一口のかまどがあり、そこで朝ご飯を炊く。火で炊くご飯の真骨頂。

自家製のお味噌でつくったお味噌汁。具材もももちろん自前。

軒下には、囲炉裏にくべる薪が積まれ、古民家の風情を醸し出している。
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古いものが切り捨てられてきた今、改めて吉田家住宅のもつ文化的な遺産の意味を考えさせられます。と同時にファストフードやインスタント食品、冷凍食品全盛の今、奥様が提供される手作りの、心を込めた家庭料理の味わいが心に響きます。東京からわず90分で訪問できる「ニッポンの食を守る宿、吉田家住宅」。ここには今を生きる私たちが忘れかけていた大切な生活の知恵が、懐かしさや思い出といったかけがえのない時間がしっかりと根づいています。個展やイベントも随時行われていますので、どうぞお問い合わせを。
おしまいに左党にうれしい情報を。吉田家住宅の人気アイテムに「かっぽ酒」なるものあり。裏山で切ってきた竹を酒器にしたもので、温まると「かぽかぽ」と音がするから名付けられました。運が良ければ天然のヤマメの骨酒も味わえます(笑)

夏場の体験宿泊では、座敷にかやが張られる。いにしえからの知恵だが、子どもたちは大喜びだとか。

軒下に吊されたたまねぎ。ご主人が丹精込めてつくった野菜の一例。

縁側と障子の由緒正しい日本家屋のひとコマ。障子を開けると家全体に清らかな風がゆきわたる。
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重要文化財 吉田家住宅
埼玉県比企郡小川町大字勝呂424
TEL.0493-73-0040
FAX.0493-74-1863
http://yoshidake.okoshi-yasu.net/